体験的占星術(Experiential Astrology)とは?


「Experiential Astrology」というと、ちょっと聞き慣れない方も多いでしょ うか?
直訳すれば、「体験的占星術」。欧米などではわりと盛んに行われていて、いろいろな方法があるようですが、占星術で使う10天体や12サイン、また天体のアスペクトなどを使って、ある表現をする、というのが共通事項のようです。

この研究会では「天体の象意となる写真を撮る」ことをその方法としています が、他にも絵を描いたり、各天体の役になってドラマを演じたり、またダンスを したり... と表現方法はいくつでも作ることができるでしょう。
例えば、Barbara Schermer 『Astrology Alive』 は、アストロ・ドラマで有名な本です。この著者は、欧米では、Experimental Astrolgy の実践者としてよく知られているようで す。





私感によるといわゆる欧米でいう「Experiential Astrolgy」というのは、自分のチャート、あるいはある特定のチャートの中にある天体やそれらのアスペク トを表現したり演じたり、という流れがあるような印象を受けます。つまり自分のチャートの中の天体を表現するなら、「自分なりの太陽」や「自分なりの月」 がどんなものなのか、という、自己に固有のものの表現、つまり自己の探求を行っているのかもしれません。これは「自分だけに固有の天体のあり方」、いってみれば「自分らしさ」を確立するのに有効な方法でしょう。

この研究会の方向は、この立場とは、ちょっと異なります。
というのも、これまで参加者に10天体の写真を撮ってきてもらっていますが、 その際、自分のチャートを意識する、ということはありません。といっても、 「そのネイタルチャートをもった自分」が撮る写真ですから、どうしてもチャー トの影響は出てくるでしょう。そういう自分の「癖」みたいなものを人の目にさらし、いかに自分が他人と違う「私的な」解釈を天体の意味に加えているか、と いうことに気づき、そしてそういう癖から脱却していくことを、むしろ目的としていました。

月のアスペクトがハードな人は、自分の写真で完璧主義的な月の写真を見るかもしれません。にぎやかな月の人は、月の意味の「保守」というよりはもっと 「開けた」写真を月にするかもしれません。こうした場合に、それらがどんな個性であれ「月の象意」を生きた写真であればそれは合格です。

そういった、チャートと性格分析からだけでは直感的に分かり難いものが、写真という映像では、ありありと見えてきます。
「写真はその人全体だ」と、ある始めての参加者は言いました。研究会では、占星術の勉強のために、いろいろと言葉で解釈を与えます。しかし、その「全体」というのは、解釈された言葉以上のものがあるでしょう。アートセラピーなどの立場では、表現すること自体が治癒であり、言葉による分節化は本質的ではな い、と考えるでしょう。
しかし、ここでは「セラピー」ということだけに目的を絞りたくありませんし、 「言葉による分節化によって立ち現れてくるもの」「生産される意味」という、 もう一方の現実もまた、捨て切れていないのです。
これらは、研究会を思いついた Hestia の、今のところの方向性でもありま す。


ですから、厳密に言うと、欧米風に「Experiential Astrology」という用語を 使うのは誤りかもしれませんが、占星術の流れの中ではおそらく非常にマイナーな分野であるこれらの方法を、とりあえずはひとまとめにして、「体験的」占星術の方法論を探っていく手がかりにしよう、という意味で、「Experiential Astrology」とあえて言っています。